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30周年記念奨励事業関係者からのメッセージ

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吉川 弥栄子さん顔写真
吉川 弥栄子さん(ひがし茶屋街・女将)

【平成29年 金沢の伝統芸能育成奨励金】

 この度は横浜記念金沢の文化創生財団様の30周年、まことにおめでとうございます。心からお祝い申し上げます。

 こちらの財団は金沢市に伝承されてきた文化遺産、伝統芸能、「金沢素囃子」の育成振興のために、新しく芸妓になろうとする新花さんと、それを育成したお茶屋さんに奨励金を交付してこられました。歴代理事長、役員の皆様の並々ならぬ努力の結晶が本年30周年を迎えることになり、深く敬意を表する次第でございます。

 設立された平成3年、この年に私はひがし茶屋街のお茶屋「藤とし」から「かの子」の名で新花芸妓としてデビューいたしました。私の年には新人芸妓の助成はまだありませんでしたが、それから25年が経ち、お茶屋として初めての芸妓さんを抱えることになり、奨励金の式典に出席をさせていただき、ご縁ができました。

 新花として芸妓に出た七葉ちゃんもそうですが、育てたことのない私も新人です。どうしたらいい芸妓さんになってくれるだろうか、自分はお茶屋のお母さんとして、ちゃんとこの子の未来に連れていってあげられるのだろうか、ただもう必死の時期でありました。

 そのため、この横浜財団様からの、おめでとうございます、頑張ってくださいとのお言葉が本当に心に沁み入りました。ああ、こうやって新しい芸妓さんと、私どもお茶屋を応援してくださる方々があるのだ、この花柳界という世界を次代につなげるために数少ないお茶屋の女将の一人として、なんとか進んでいかなければと襟を正して受け取らせていただきました。

 今、芸妓さんの数はかなり少なくなりましたが、芸妓さんの育成には前向きに、あれから時が経ち、立派な芸妓となった七葉ちゃんに続く芸妓さんをこれからまた育てていきたいという思いと、そして自分の花柳界での30年と「横浜記念金沢の文化創生財団」様の30年の歴史を重ね合わせ、次の40年、50年に向けて躍進されますことを心より祈念いたします。

七葉さん顔写真
七葉さん(ひがし茶屋街・芸妓)

【平成28年 金沢の伝統芸能就業奨励金】

 この度は、横浜記念金沢の文化創生財団が創立30周年を迎えられたことを心よりお祝い申し上げます。創設者の横浜茂雄氏の故郷であるここ金沢の文化遺産、伝統芸能を守るという意志を受け継がれ、今日までご尽力されていることに敬意を表します。

 私が金沢ひがし茶屋街の芸妓としてお披露目させてもらいましたのは平成28年、今から6年前のことです。当時は立替などがあり、今後の不安を感じておりましたが、貴財団からのご支援もあり、ひとかたならぬお世話になりました。今もこうして芸事に励むことができるのも貴財団のおかげです。

 3年前の贈呈式の時に私から一言、挨拶をする機会がありました。「これからも楽しくやっていきたいと思う」と述べた時、現理事長の横浜健氏が「楽しみながら励むことはとてもいい事だと思う。その気持ちをずっと忘れないでほしい」と仰ってくださったことを今でも覚えています。まだ花柳界というものに対して色々と模索しているなか、理事長のお言葉で自分自身が選んだ道は間違っていなかったと思いました。

 年々、芸妓の人数も減少傾向にあり、コロナの影響もあってお座敷の件数も激減しました。

 そんななか、ひがし茶屋街が公許された文政3年(1820) から200年が経ちました。長い歴史のなか、お姐さん方が紡いできたこの伝統を次の世代の芸妓らに自信を持って受け渡せる芸妓になれるよう、これからも倦まず弛まず、楽しみながら、芸事に精進してまいりたいと思います。そして今後の花柳界の回復に向けて、芸妓文化の宣伝、志望者の募集や育成などにも努めてまいります。

 末筆ながら、横浜記念金沢の文化創生財団の一層のご発展とご活躍を祈念致しまして、お祝いの言葉とさせていただきます。

西村 紀美代さん顔写真
西村 紀美代さん(主計町茶屋街・女将)

【令和2年 金沢の伝統芸能育成奨励金】

 横浜記念金沢の文化創生財団様の30周年おめでとうございます。設立当初より私達芸妓に助成いただき、今まで店出しさせていただいた芸妓達もおかげさまで中堅となり頑張っております。新人芸妓にとって助成は、大変ありがたく金沢の地元の方々の御理解と御協力に心より感謝申し上げます。

 このように新人芸妓やお茶屋に対して助成いただけることは他の地域の花街と比べましても稀なことだと伺っております。私共の門をたたく新人もこの頃は、横浜や仙台など県外出身の者が増えました。金沢らしい文化・伝統•町並みに魅せられて芸妓を目指す若者はこれからもきっと増えると思います。これもひとえに助成の下支えと恵まれた金沢の環境にあります。さらに新人芸妓の育成に対しても助成いただき心強く感じております。若手芸妓達が長く仕事を続け活躍してもらえるよう今後も環境を整えてまいります。

 昨年から今年にかけコロナ禍で芸妓もお茶屋も大変厳しい状況でございました。そんな中でも芸妓一同お稽古を地道に重ねてまいりました。余談ではございますが当お茶屋の新花芸妓のお披露目も充分かなわないまま新型コロナウイルスの影響で休業となりました。それでも熱心にお稽古をかかさずお茶屋に通っておりました。それも芸道を支えてくださる皆様の御尽力があってこそです。これからもきっと頑張ってくれると思っております。

 金沢らしさを守りつつ、新たなお茶屋と芸妓の姿をつくっていけるよう、そして金沢芸妓の伝統が長く引き継がれていくよう皆で精進してまいります。

 財団理事長様、役員の皆様に心より感謝申し上げます。